振り返るとそこに僕がいた

試合終了のホイッスルがなった。

僕たちは試合に負けた。

 

この大会が僕らにとっての最後の大会だった。

この大会のために、僕らはこれまで以上に練習を重ねてきたし、これまで以上に団結してきた。

 

僕たちに実力がないのはわかっていた。

だからこそ、これまで以上に団結し、これまで以上の練習をしてきたのだ。

だが、現実はそう甘くはなかった。

この日、僕らはこの世の現実を知った。

 

気持ちだけでどうにかできるほど、この世の中は甘くないということを。

 

気持ちのレベルなんて誰にも測ることはできない。

でも、絶対負けない。負けたくないという気持ちはどこの誰よりもあったはずだ。

だが、負けた。

 

これが真実であり現実だ。

気持ちが相手より劣っていたのか。

それは違う。劣っていたのは実力なんだ。

 

どんなに気持ちを込めたとしても、勝負で勝つときは勝つし、負けるときは負ける。

それだけ気持ちは尊いものであったのだ。

 

悔しい。死ぬほど悔しい

でも、僕らは敗北という経験を得ることができた。

 

今は、悲しみに暮れるだろう。

だが、僕たちは次に向かって進んで行かなければいけない。

なぜなら、まだまだこの先長いのだから。

 

だから、今は思いっきり泣こう。

別に1週間や2週間落ち込んだっていい。

でも、最後には過去の楽しかったこととかを思い出してみんなで笑おう。

 

そしてみんなそれぞれの道へと進んで、その先で勝利を掴めばいい。

この先の人生、まだまだいろんなことが起こる。

辛くなったら、今日のことを思い出してほしい。

そして、僕たちは全力で取り組んだという、かけがえのない財産を持っていることを忘れないでほしい。

だから前に進み続けよう...。

 

 

「頑張れ」

そう呟きながら、彼らの背中を見つめていた。

彼らと自分を照らし合わせて、ふと微笑んだ。

そして、向かっていた道に向かって再び歩き出した。

 

この話はフィクションです