偏見の中にあるもの

仕事終わりに、2年前に一人飲みしてて知り合った人と久しぶりに会ってきた。

 

彼女は、僕の10歳年上のキャリアウーマンだ。

綺麗で話し方もとてもしっかりしていて、一見仕事一筋という感じに見える。

実は僕らには暗黙のルールがある。

プライベートや仕事に関して深掘りして聞かないこと。

そして言いたくないことは言わないということ。

これは彼女だけでなく、僕が一人飲みして知り合って連絡先を交換した人にたまにいるパターン。

自分のことを深く知らないからこそ、共通の友人がいないからこそ話せる内容がある。

わからないからこそ、一人の人間として理解しようと思える。

 

なぜ、こんな前置きを書いたか。

彼女には裏の顔がある。

普段は会社で働いているが、裏の顔として風俗で働いている。

 

ご存知だろうか。バレてないだけで、副業として風俗店で働く女性がいることを。

彼女の話によると、お店にもよるらしい風俗店はバレ対策の達人であるため、顔バレなどして言いふらされない限りバレにくいらしい。

 

副業として働く女性の理由としてお金のためというのが一番ではある。

それ以外として、経験としてという人。

軽度の障害があるため、普通の仕事では長続きしないor雇ってもらえないという人。

理由は様々だ。

 

AV女優などがTVやメディア、SNSに出てきて、昔よりイメージは変わったのかもしれないが、まだ世間からの偏見は強い。

 

もちろん、天職として働いてる人もいる。

しかし、いろんな事情を抱えて働いてる人がいるのだ。

 

彼女の最初のきっかけは、ストレスでお金を使いすぎてしまったことと埋められない寂しさを解消しようとしたのが働くきっかけだ。

ある程度お金を貯めたらやめようとしていた。

でもやっていく中で、とあることに気がついた。

風俗利用者の中に寂しさや人に言えないことを抱えて利用することが多いことも。

そのため、行為も何もせず話をして終わりの人も以外と多いらしい。

 

自分と似たような人にも出会うこともしばしば。

彼女はいろんな人と関わる中で、話を聞くこととその悩みを軽くすることができないかと考えた。

彼女は、会社員として働き、風俗店でも働きながら、臨床心理士の資格取得を目指している。

自分自身の経歴、経験が誰かの役に立つかもしれないからということで。

 

そして彼女は、風俗店で働きながら1つのことをずっと続けているらしい。

それはペットボトルの蓋を集めること。

皆さんは、ペットボトルの蓋がなんの役に立つのか知っていますか?

実は、集めた蓋は途上国のワクチンに変えられる。

 

彼女はお客さんが飲み終わったペットボトルの蓋を集めて、一定量貯まったら、回収してくれる場所へ持っていくとのこと。

「こんな些細なことで誰か助けられるなら、やった方がいいと思ってるから。一人で幸せになるより、シェアして幸せになる方がいいじゃん?」

と笑って彼女は言った。

この一言がすごく胸に突き刺さった。

 

僕の周りには、何か抱えてる人や偏見の目で見られる人がなぜか多い。

当たり前に周りにいるからそんなに偏見とか固定概念はあまりないほうだ。

それに幼少期から海外に住んでいたことで価値観もガチガチではない。

途上国で路上生活している人がそこらへんにいるのが当たり前だったから。

 

日本は、性に対してオープンではない。

オープンでないがゆえにいろんな問題が国内で起こる。

そして、それゆえに抱える人が多くなる。

偏見をなくせとは言わない。

光があれば影も存在するように、全世界のみんなハッピーってならないのは知ってる。

だから、そんな世界は作れないって諦めてる。

でも偏見の目で見る前に、まず一人の人間として向き合ってみてもいいんじゃないか?

偏見で何が生まれるんだい?