吐き出す煙の中

休みの日。僕はベットの上で現像した写真を天井にかざしながら見つめていた。

僕は月の終わりに過去の整理と未来への希望の整理をする。

この、たった一人の時間がないと僕は怖い。

目まぐるしいスピードで進む毎日。一度立ち止まって整理しないと、肉体と精神の時間のギャップが生まれそうで怖い。

 

どんな時でも時代は進む。

文化も変わる。その時の流行りは繰り返す。

新しいものが流行ったと思えば、古いものが流行り出す。

そんな何気無いサイクル。

 

人にも似たようなサイクルがある。

そしてそのサイクルには容量がある。

容量に空きがないと新たに付け加えることはできない。

新しくアップデートしたければ、何かを捨てるしかない。

全部受け入れようなんてそんな欲張りなことはできない。

できてたと思っていても何かが失っている。本人はその何かに気がつくことはない。

何気ない循環に穴が空いて、少しずつ流れていく。

 

人にも時代にもサイクルがあるなら、失くしてしまったものも取り戻せないだろうか。

そんなことを考えながらも、現実はそう甘くないことを知っている。

 

後悔しないようにと生きようとしても必ずどこかで後悔する。

その後悔を二度としないように努力する。

でもまたどこかで失敗する。

 

後悔の1つや2つあるのが人生だろ。

後悔のない人生なんかあるのだろうか。

みんな最初から始められるなら始めたいと思う人も多いだろう。

循環が生まれる前から。円形の循環ができる前から。

 

こんな結論のない話を僕は無心になって淡々と考え続ける。

考えて思い出して、整理して新たに前に進む。

 

後悔は消せない。消えない。

消すことができたとしても、消したくない事実までも消えてしまうだろう。

大切なものまで消えてしまうのであれば、引きづらず背負う。

気を重くしてるのは、結局自分自身なのだから。

気軽に、気楽にする。

 

そして僕は、ベランダに出てタバコを吸う。

そのタバコの煙に、整理していらなくなったものを含ませて外へ吐き出す。

吐き出された煙は、だんだんと薄れて空気と同化していく。

本当は手放したくないものだと思うと、この煙も愛おしい。

こうして僕は月初めを迎える。